妊婦さんにも新登場✨RSウイルスワクチンってなに?赤ちゃんを守る新しい選択肢
こんにちは😊
みなさん、産科や小児科の待合室で「RSウイルスワクチン」のポスターを見かけたことはありますか?
2024年5月、日本でも妊婦さん向けのRSウイルスワクチンが販売されました。
このワクチンを妊娠中に接種しておくと、お腹の中の赤ちゃんが生まれたあとに重い感染症にかかるリスクを減らせるんです。
今日は、ママと赤ちゃんを守る新しいワクチン「RSウイルスワクチン」について、やさしくお話しします🌿
RSウイルスってどんなウイルス?
RSウイルス(RSV)は、赤ちゃんの間でとてもよくみられるウイルスです。
風邪のような症状から始まり、咳や発熱、鼻水などが出ます。
実は、世界中の赤ちゃんの約半分が1歳までに一度は感染し、2歳までにはほとんどの子が経験しているといわれています。
多くは軽い風邪で済みますが、時に「細気管支炎」や「肺炎」を起こして重症化することもあります。
特に生後6か月未満の赤ちゃんは免疫がまだ弱いため、症状が悪化しやすく、
生後1〜2か月で感染した場合は入院が長引くこともあります。
しかも、RSウイルスには今のところ「特効薬」がないんです。
だからこそ、感染を防ぐための予防がとても大切なんですね。
(参考:日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会
「RSウイルス母子免疫ワクチンに関する考え方」2024年2月17日)
妊婦さんが打つRSウイルスワクチンとは?
RSウイルスワクチンは、妊婦さんが接種することで、体の中に「RSウイルスを退治する抗体」が作られます。
その抗体は胎盤を通して赤ちゃんに届くため、生まれたあとの赤ちゃんをウイルスから守ってくれるんです✨
この効果はだいたい生後6か月ごろまで続くといわれています。
つまり、いちばん重症化しやすい時期をしっかりカバーしてくれるということです。
接種のタイミングも大切で、妊娠24〜36週の間に打つことができますが、特に28〜36週がより効果的とされています。
副作用については、注射した部分の痛みが一時的に出ることがありますが、それ以外の重い副作用は今のところ報告されていません。
ただし、海外では「百日咳・ジフテリア・破傷風の混合ワクチン」と同時に接種すると効果がやや弱まるという報告もあります。
そのため、医師と相談しながらスケジュールを立てると安心です。
費用はどのくらい?助成はあるの?
気になる費用は、おおよそ3万円〜3万5千円ほど。
現時点では自費(任意接種)となっています。
まだ導入されたばかりのワクチンなので、自治体による助成制度は広くは整っていませんが、
一部の地域では補助が出る場合もあります。
自治体によって大きく違うため、
「〇〇市 RSウイルスワクチン 助成」などで調べたり、お住まいの市町村の保健センターに問い合わせてみるのがおすすめです📞
妊婦さんでもワクチンを打って大丈夫?
「妊娠中にワクチンを打ってもいいの?」と不安に感じる方もいますよね。
実は、妊娠中でも安全に接種できるワクチンはいくつかあります。
たとえば、インフルエンザや新型コロナウイルスのワクチン。
これらは「不活化ワクチン」といって、すでに死んだウイルスを使っているため、赤ちゃんへの影響は出にくいとされています。
RSウイルスワクチンもこの不活化タイプです。
ですので、妊娠中に接種しても基本的に心配はいりません🌼
一方で、「風疹」「麻疹(はしか)」「水痘(水ぼうそう)」「おたふく風邪」などのワクチンは生ワクチンと呼ばれ、
弱ったウイルスを使って免疫をつける仕組みのため、妊娠中は接種できません。
妊娠を希望している方や妊活中の方は、妊娠前に生ワクチンを受けておくことが大切です。
接種後は、3か月ほど妊娠を控えるようにしましょう。
表)感染症にかかった時の、胎児および母体に対する影響
| VPD | VPD罹患による
胎児の奇形 | VPD罹患による
母体への影響 | その他 | |
| 風疹 | 生ワクチン | 先天性風疹症候群 | 成人の約15%が不顕性感染 | |
| 麻疹 | 可能性は低い | 重症化しやすい | 致死率0.1% | |
| 水痘
(水ぼうそう) | 先天性水痘症候群 | 重症化しやすい | 出生児が水痘に罹患すると重篤化リスク大 | |
| ムンプス
(おたふく) | 可能性は低い | 子供/大人ともに難聴などの合併症リスク | ||
| インフルエンザ | 不活化ワクチン | 可能性は低い | 重症化しやすい | |
| 百日咳
《三種混合ワクチン》 | 可能性は低い | 早期乳児(6ヶ月未満)は重症化リスク | ||
| RSV | 可能性は低い | 重症化しやすい | 乳幼児や高齢者における重症化リスク | |
| COVID-19 | ※ | 可能性は低い | 重症化しやすい
(特に妊娠後期) |
(こどもとおとなのワクチンサイト「妊娠可能年齢の女性と妊婦のワクチン」より引用)
ママの体が赤ちゃんを守る💕
妊娠中の体はとてもデリケート。
それでも、赤ちゃんのためにできることがあるって、心強いですよね。
RSウイルスワクチンは、ママの体を通じて赤ちゃんに「守る力」をプレゼントするようなもの。
もちろん、接種するかどうかはママと赤ちゃんの状態やタイミングによっても違うので、
かかりつけの先生とよく相談して決めましょう。
産まれてすぐの小さな命を守るために、今できることを少しずつ、一緒に考えていけたら嬉しいです🌸
💡まとめ
- RSウイルスは乳児の肺炎の主な原因のひとつ
- 妊娠28〜36週での接種が効果的
- 効果は赤ちゃんの生後6か月ごろまで持続
- 費用は3〜3.5万円、自治体によって助成あり
- 妊娠中でも接種できる「不活化ワクチン」タイプ
ママの笑顔は、赤ちゃんにとっていちばんの安心です😊
無理のないペースで、健やかな毎日を過ごしてくださいね。
この記事は薬剤師である筆者が、医学的根拠に基づき一般的な情報をわかりやすくまとめたものです。実際の接種については必ず医師・薬剤師にご相談ください。


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