粉ミルクと母乳の違いを薬剤師が解説|栄養成分・安全な調乳方法まとめ

粉ミルクを準備する笑顔のパパママと赤ちゃんの温かい日常風景 医療

この記事は調剤薬局勤務の薬剤師が監修・執筆しています

こんにちは、がんばるパパママへ🌷

出産を終えて、赤ちゃんとの新しい毎日がはじまると、授乳のことは誰もが一度は悩むテーマですよね。
「母乳が足りないかも」「ミルクを足してもいいのかな?」と心配になるママも多いと思います。
でも大丈夫。最近の粉ミルクはとても進化していて、母乳に近い成分や味を研究して作られています。
今日は、そんな粉ミルクについて、安心して使えるポイントをやさしくお話しします。

母乳じゃなくても大丈夫?

実は母乳は出産をしたら自然に出るものではなく、最初は本当ににじむ程度しか出ません。
乳首を強くマッサージしたり、赤ちゃんに吸ってもらう刺激でホルモンが分泌されて母乳が増えていくのです。
ただ個人差があったり、お母さんの体調によって量が出なかったりするのは仕方のないことです。
なかには産後すぐに赤ちゃんやお母さんが入院してしまって、母乳をあげる機会がなくそのまま出なくなってしまう方もいます。
一度母乳が完全に出なくなってしまうと、その後はホルモンが復活することはありません。
母乳のことで悩んでいたら、助産師さんなどに母乳マッサージやケアについて相談してみましょう。

妊娠中のママの約9割が「完全母乳で育てたい」と思っているそうです。
けれど実際は、出産後に母乳とミルクを併用するママが半数ほど。
体調のこと、職場復帰やパパ育児、保育園の事情など、さまざまな理由でミルクを選ぶのは自然なことなんです。
どんな選択をしても、赤ちゃんを大切に想う気持ちが一番大切。
「母乳じゃないとダメ」なんてことはありませんよ。

(厚生労働省「平成27年度乳幼児栄養調査結果の概要 乳幼児の栄養方法や食事に関する状況」より参照)

母乳と粉ミルク、それぞれの特徴

母乳には感染症を防ぐ免疫成分がたくさん含まれています。
出産してから3~5日後までの母乳を初乳といいます。
栄養成分や免疫成分が多量に含まれていて、病気を予防する大事な母乳です。
産後10~14日後には糖質や脂肪分が増えて、成長のための栄養の母乳になります。
約1年間は免疫成分が残っていますが、次第になくなるようです。
(雪印ビーンスタークHP 母乳研究 赤ちゃん研究 より参照
https://www.beanstalksnow.co.jp/labo/baby/)

一方で粉ミルクは栄養バランスが安定しており、誰でも同じように用意できるのがメリット。
ママ一人に授乳の負担が集中せず、パパや家族も育児に関われる点も心強いですね。

またママが薬を飲むと、ごく微量の成分が母乳に混ざります。
赤ちゃんにも大丈夫な薬があるので、安心して医師に授乳中と伝えましょう。
ただ薬によっては医師から母乳を一時的に中断するよう指示されることもあります。
ドラッグストアなどで購入できる市販薬は、薬剤師や登録販売者に相談してみましょう。
授乳中でも安心して服薬できる成分については以下のHPから確認できます。
(国立成育医療研究センターHP「授乳中のお薬相談」https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/sodan_junyu.html)

そして赤ちゃんが食物アレルギーになったら、ママの食事を制限する場合があります。
(制限しないこともありますので医師の指示に従いましょう)
大豆、米、小麦など食事制限が難しい場合は完全ミルクに切り替えることもあります。
牛乳アレルギーの場合、普通の粉ミルクは牛乳からできているので、牛乳アレルギー対応の粉ミルクを使用します。

誤解しないでください、母乳はアレルギーの原因ではないのです。
赤ちゃんがアレルギーになる原因については不明な点が多いのですが、母乳は腸内環境を改善してアレルギーを予防する作用があります。
また食事制限によってママの体力が落ちてしまっては大変です。
なので安心してしっかり栄養満点の食事をしましょう!

項目 母乳 粉ミルク
免疫成分 豊富で感染症予防に効果的 ほとんど含まず
栄養バランス 赤ちゃんや時期に応じて変化 一定で安定
ママへの負担 消化がいいので授乳回数が多くて体力的に大変 誰でも授乳できて負担軽減
腹持ちがよく、消化がややゆっくりなので授乳回数が少なめ
コスト ほぼ無料 費用がかかる
その他 ビタミンK・Dが不足することあり
用意が簡単
便秘しやすい
哺乳瓶の洗浄と殺菌、調乳のお湯の用意など手間がかかる

母乳に足りない栄養素、ビタミンKとD

母乳にはビタミンKとビタミンDの含まれる量が少ないのです
ビタミンKは出血を防ぐ作用があり、特に脳内出血の予防のため重要です。
産院で生後すぐに投与され、約3か月間定期的に補給できるよう薬剤が渡されるので心配いりません。
ビタミンDは骨を丈夫にする作用がありますが、薬剤などは渡されません。
自然に補えないこともあるため、妊娠中からしっかり摂るのがおすすめです。
日光浴や魚・卵・きのこ類をバランスよく食べて、ママ自身の体から赤ちゃんへ届けてあげましょう。

参考:日本小児医療保健協議会栄養委員会報告「乳児期のビタミンD欠乏の予防に関する提言」2025年

母乳にはSIDS予防の効果も

「乳幼児突然死症候群(SIDS)」という、元気だった赤ちゃんが眠っている間に突然亡くなる病気があります。
原因ははっきりわかっていませんが、母乳育児がSIDSのリスクを下げるという研究もあります。
他にも以下のような点が大切です。

  • 1歳まではあおむけで寝かせる
  • できるだけ母乳をあげる
  • たばこを避ける

どれもすぐにできる小さな工夫で、赤ちゃんを守る大きな一歩になりますね。

(政府広報オンライン20250701「赤ちゃんの原因不明の突然死 「SIDS」の発症リスクを低くする3つのポイント」より参照)

ミルクを作るときの「お水」

調乳(粉ミルクを溶かしてミルクを用意すること)には基本的に水道水でOKです。
硬度が高いと赤ちゃんがおなかを壊すこともあるので、ウォーターサーバーは注意しましょう。
目安は硬度60以下、お住まいの地域の水道水の硬度は、水道局のホームページで確認できます。
もし硬度が高ければ、飲料用軟水器の利用や調乳用の純水を使うのがおすすめです。
調乳用の純水はベビー用品店やドラッグストアでペットボトルで販売されています。
他に選択肢がなかったら硬度300以下(国が定める水道水の基準以下)のものであれば大丈夫です。
硬度300以上でも日常使いではなく単発使用なら問題ないです。
井戸水は水質検査をパスしたものを、災害後などは井戸水が変質していることもあるので避けてください。
水素水やアルカリ水はミルクに適していないので使用しないでください。
(雪印ビーンスタークONLINE「意外と知らない!?赤ちゃんのミルクのこと」より参照https://www.shop-beanstalksnow.jp/view/page/page27)

粉ミルクの作り方と保存のコツ

粉ミルクを溶かすお湯は70~100℃が目安です。
これは粉ミルクには稀に菌が混入していることがあるため、殺菌するために70~100℃の一度沸騰させたお湯が必要です。
たまにミルク用に40℃のお湯を用意されることがありますが、これでは殺菌できないので注意しましょう。
ミルクを作る方法は2つ。

  1. 測った粉ミルクに適量のお湯を注いで溶かし、蓋をして人肌になるまで冷水で冷まします。
    哺乳瓶はガラス製がおすすめ、プラスチック製だと熱がこもってしまってなかなかさめません。
  2. 半量より少なめのお湯でよく溶かしたあと、純水や清潔な湯冷ましで人肌(36℃前後)まで冷まします。
    湯冷ましは水を一度沸騰させて冷やし、蓋のついた清潔な容器に入れて24時間以内に使い切りましょう。

1は手軽ですが、冷やすのに時間がかかってしまいます。
外出するときは軽いプラスチック製の哺乳瓶が便利なのですが、冷めにくいので冷水が手に入らない場合は大変です。
2は人肌程度のちょうどいい温度へ調整するのに少しコツがいりますが、お湯と水を混ぜるだけなのですぐに用意できます。
お湯と水を半々で混ぜれば中間の温度になります。
沸かしたての100℃近いお湯なら少なめに、逆に時間がたって70度近いお湯なら半分で水と混ぜれば人肌くらいになります。
温度の確認は前腕に1〜2滴垂らして、熱くなければOK。

赤ちゃんが飲み残したミルクは次の授乳のときにはあげられません。
飲み残したミルクは廃棄するか、大人が飲んでも大丈夫です。
粉ミルクは結露を防ぐためにも冷蔵庫ではなく常温で保管しましょう。
(雪印ビーンスタークONLINE「意外と知らない!?赤ちゃんのミルクのこと」より参照https://www.shop-beanstalksnow.jp/view/page/page27

災害時に便利な液体ミルク

粉ミルクは手軽ですが、菌を殺菌するためお湯が必要です。
災害時などお湯が使えない状況に備えて、液体ミルクをストックしておくと安心です。
液体ミルクは紙パックや缶に入っていて、無菌製造なので常温保存できます。
調乳不要なのでそのまま哺乳瓶に入れて赤ちゃんに飲ませることができます。
ベビー用品店やドラッグストアなどで手軽に購入可能ですが、粉ミルクに比べて価格は高めの傾向です。
なので普段は粉ミルクを使用して、外出や災害時に液体ミルクを使用する方が多いと思います。
赤ちゃんによってはミルクの味が変わると飲んでくれない子もいるので、最初から液体ミルクと粉ミルクのメーカーをそろえた方がいいでしょう。
以下は主な液体ミルクブランドです

明治「ほほえみ らくらくミルク」
缶タイプ、乳首(ピジョンの「母乳実感」シリーズ)を直接取り付け可能
重いけど丈夫なので災害時でも安心ですし、子供がつかんで零れる心配もないです。
ほほえみのシリーズは粉タイプや固形タイプなど選択肢も多くて助かりますね。

パパ・ママへひとこと🌸

母乳でも、ミルクでも、どちらでも大丈夫。
どんな方法でも、パパ・ママが笑顔でいることが赤ちゃんにとって一番の幸せです。
毎日がんばっているあなたを、心から応援しています。


※この記事は薬剤師である筆者が、医学的根拠に基づき一般的な情報をわかりやすくまとめたものです。
実際の授乳・栄養管理については、医師・薬剤師・助産師など専門家にご相談ください。

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